次のドア


  ある山の森の奥のがけの上に一人の男が立っていた。このがけは自殺の名所だ。その男は何か複雑な顔をし、暗い表情をしている。そう自殺を考えているのだ。理由はめいかい、会社でのいざこざや他のいろいろなことだ。男は自殺をやめたのか森に入って行った。少し歩くと大きな黒い家が現れた。入り口にはこう書いてある。[自殺を考えているお方はどうぞ]男は考えたあげく入っていった。どうせ引き返そうと思っていたのだから・・・・。家の中に入るともうひとつドアがあった。それにはこう書いてある。[苦しみながら死ぬのか、苦しまずに死ぬのか運命の選択です]入ってみると赤と青の二つのドアがある。赤が苦しみながら、青が苦しまないのだろうと思いながら男は青をに入っていった。中には長いテーブルと豪華な料理ができたてのように並んである。近寄ってみると、とてもうまそうなにおいがただよってくる。やっぱり当たりを選んだのだと思いながら料理にがっついた。「おえぇー」あまりのまずさにはきだした。すぐに横のワインをつかみぐっと飲みほした。
すると目の前が真っ暗になった。

黒い家の門の前に黒い影が多数うごめいていた。
「この家だな。」
「ああ、ずいぶんと森の中に隠れたものだ殺人鬼め。」
すると隊長らしき者が号令をかけた。「全員出動!」

男は目を覚ました。周りの空気は冷たく、わずかに光が窓から差し込んでいた。よく見ると牢屋の中にいた。耳をすますとわずかに声が聞こえた。
「くっくっくあの男どう調理する?」
「なに張り切っていんだよ、どうせ食べるのは親ビンだけだろ、俺たちには骨一本も分けてくれないんだ・・。」

  えっまさか俺を・・・食べられる?

「隊長、ドアがあります。」
「あなどるな、罠があるかもしれない慎重に開けろ。」
・・・「隊長またドアです、青と赤の二つのドアです。」
「よしっ二組に分かれろ、A班は赤のドアへB班は青のドアへ両方とも気おつけて進むように、わたしはB班にはいる。」 二組に分かれそれぞれのドアに入っていった。
「ギャアァァァァァァァァァ」
A班の入ったドアから悲鳴が聞こえてきた。
「おちつけ、今われわれも同じ立場にいることを忘れるな。」隊長が怒鳴った。
青のドアの中には何もなく、奥に次のドアが見える。慎重に歩いた。時間が長く感じる。全員が何事もなくドアにたどり着いた。
「次に何か起こるかもしれない気おつけろ。」  ドアを開けた。
男は牢屋の中で絶望的な声を上げた。すると二人のフードをかぶったやつが現れた。
「おや、どうしたんだい、親分がよんでいるんだよ、早く食べられたいんだろ。」
「焼いてやろうか、それとも煮てやろうか?」
「だめだ だめだ 親分は生が好きなんだ、このまま持っていこう。」
牢屋から出された、両手をしかりもたれたまま暗い廊下を渡りドアを開けた。
思わず声を上げた、目の前には頭が狼の人間、いや半獣半人間の男がテーブルに座っている。舌なめずりをしてこっちをにらんでいる。
「こっちに持って来い。」
「ヒヒー。」
両腕をつかんでいた男二人がおびえながらもおとこをテーブルの上においた。狼人間は男に食らいつこうとした。
「ガチャッ・・・・よし全員すすむっ。」
隊長の声が止まった。当たり前だ、前に広がる光景は狼人間が人に食らいつこうとしている。迷わずいかく射撃をした。狼人間は顔を上げた。
「ひーーーいぃぃぃぃぃ。」
フードをかぶっている男たちは声を上げどこかに逃げていった。
「俺様の食事を邪魔したな、グルルルルルル。」
狼人間は黒い集団に突っ込んでいった。それはすさまじく見ていられない。男は走り近くの大きい扉に入った。するとすがすがしい空気が体中に入ってきた。外に出たのだ。走った。前を見ず走り続けた。すると体が急に軽くなった。なんとがけから落ちてしまった。
しかし男は笑っていた。「ふー、疲れた。」

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